8. 塗り替えられた感情

投稿者: ゆきお

私の話のスタートである今から3年前の、さらにその5年前に、もう一度話を戻そう。

前戯代りのスパイスとしてのネットでのネタということでは、「寝取られ」というのは、そうした彼女の他の男とのいきさつから、私にとってリスキーなものであった。

自分の感情の中で抑え込んでいた何かが噴出してくるかもしれないという意味でリスキーでもあったし、絵里を無用に傷つけるかもしれない意味でもリスキーでっあた。

しかし、それがリスキーであればあるほどに、禁断の果実の匂いがした。

結果として、まず私が、「寝取られ」のその刺激を、自分の過去の記憶に結びつけることになった。
何度か遠くから姿を見たことのある、絵里のそのときの男、私が人生の最も不遇の時代に絵里とつきあっていた自信に満ちたその男のようすを思い出した。
そして、自分がひとりむなしくあがき、オナニーしていたときに、二人が前途洋々の気分の中でセックスしていたことを思い出した。

実を言うと、私は、その時期、そんなことを思ってオナニーをしてはいなかった。特定の 女優の出るAVを見て、自分の相手がその女優似の女性であることを思いながらオナニーすることを繰り返していた。
その女優は、絵里のように知的というのとはほど遠かった。
今にして思えば、絵里の記憶と抹殺するために無意識に選んだ結果だったのだろう。

ところが、すでに安定したパートナーなって3年目にはいってるにもかかわらず、ひどく惨めな、そしてい妖しい興奮を伴なう感情となって過去が戻ってきた。
自分が、あらゆる将来の希望を絶たれながら、元の彼女が自信満々の男と満ち足りたセックスをしているのを思い描きながらオナニーしている、惨めな独身男になっていた様子を想像した。
そしてそれがいいようのない興奮につながった。
そしてそうした自分を気持を妄想しながらオナニーした。

経験しなかったはずの過去が、寝取られ男の過去として新たに塗り替えられた。
なんとも奇妙な感情だった。

リアルタイムでは無意識のうちに強く、強く抑えていた寝取られの感情が、生々しく戻ってきたとしか言いようがない。