11. 危険な会話の甘い結末

投稿者: ゆきお

そんななかで、「まだ、私に他の人とエッチさせてみたいって思ってる?」 という絵里の言葉、しかも5年も前のことを持ち出しての話は、私に緊張感を与えた。

「そうね。そのくらいなるのね。あの時期は、好奇心旺盛だったね、きみ。」

あの時期は…という比較に何か裏があるんだろうか。セックスの回数が少なくなっていることの不満? それとも私の昼間のあいかわらずのネットサーフィンとオナニーについて何か気づいたんだろうか?

「お互いね。君も、そういえば…」

疲れぎみ、という言葉をぐっと飲み込んだ。

「そういえば、何?」

「いや、好奇心減ってるかも、お互い。ってこと」

「私はきみの好奇心についてっただけですから。」

「ふ〜ん。ところで何、それ、他の人とエッチさせたいかって話。今ごろその気になったのかい?」

「そんなわけじゃなくてね、私ね、金曜の飲み会で、会社の同僚の子から浮気話を聞いたのよ。でね、よく聞いたら、彼氏公認なんだって。私びっくりして、そんなんでいいの? って聞いたら、彼氏の趣味なんですって。私、へ〜って言っただけだけど、そのとききみの前の話を思い出したの。そんな男の人ってやっぱりいるんだなって、ていうか、男はだれでも思うことなの?」

「だれでもかどうか分からないけど、結構興奮するという人は多いみたいだな。」

「で今のきみはどうなの。」

その展開に何か危ういものを感じた。あたりさわりのない返事をしながら、さぐるような心持ちになった。

「一般的に言うとだいたいの結婚している男にその妄想は多かれ少なかれあると思うよ。でも実践するかどうかは別だね。あと浮気というとまた別かも。たとえば3人プレーして、自分の見てる前で、パートナーが他の男とセックスしてるのはOKな男でも、彼女が自分の知らないところで浮気しているのがばれたら逆上したりするよね。あと、ちゃんと報告してれば浮気もOKってやつもいて、それも単にOKなのかそれとも趣味なのか、そのへんは人そぞれだからね。」

「で、今のゆきおくんは?私に他の人とエッチさせてみたいと思うの?」

「ん… シチュエーションとして萌えるけど、でも妄想にとどめておいたほうがいいみただな。アレンジとかいろいろと面倒だし。」

「そうよね。わざわざそんなことしなくても。」

「じゃあ、聞くけどさ、絵里は妄想でも他の人と寝てみるとかいうの思ったことはないのかい」

「その質問ってさあ、ねえ、ほんとの反対を言ったら、私のほうが、きみに別の女の人とエッチしてほしいと私が妄想したかどうか? っていう話になるんじゃないの。」

「ん? まあ、そうかもしれないけど、ここはぼく中心に考えて。で? ほんとにないのかい?」

「違うんだなあ…」

「何が?」

「あのね、女って、この人とエッチしたいとかふつうは直接に妄想するもんじゃないと思うのよ。」

「ほんとに?」

「ん… 自分から直接この人とエッチしたらどうだろう、なんて私は考えたことない。そうじゃなくて、誘われたらエッチしてもいいかなとか、エッチすることになるのかなとかは考えるのよ。でもその先は考えない。あくまでも可能性の問題として考えるのね。」

「それは前にも聞いた気がする。じゃあ、ぼくとのエッチを妄想することはないわけ、会社にいるときとか。」

「いつもエッチしてる相手は別よ。だっていろいろ覚えているもの。寂しいとき、きみにきゅって抱いてほしいとはよく思うわよ。だけど、知らない人とのエッチしていることをそう簡単に想像したりはしないというわけ。」

「女性誌なんかにあるのは? エッチしたい男ベストいくつとか。」

「あれも、やっぱりエッチしてもいい男っていう感じじゃないかな、その人とセックスしてる最中って想像するのかしら。人のことは分からないわ。だけど相手がいないとき、ああ、こんな人にきゅってされたいな、なんて、思うのはありかもね。」

「今日は『きゅっ』、にこだわるね。」

「今日だけじゃなくて、いつもよ。私きゅってしてくれれば、いつでも幸せ。」

その言葉に、絵里のことがたまらなくいとおしくなり、そしてソファのとなりから引き寄せ、ぐっと抱いた。

そしてそのままはげしく長いディープキスに持ち込んだ。

私の情熱的なキスに応えていた絵里は、小さな声で、「ね、あっち行こう」と、寝室に首を向けた。