59. 再開

投稿者: ゆきお

日曜の夜は、私の仕事や絵里の仕事についても話題が広がり、二人の間に暗黙の了解でもあるかのように、プレイについて触れず、眠りついた。
あっけないほどのスール具合に、やや欲求不満気味になったのも確かだが、会話の流れからその雰囲気に私も結局協力していた。
そして、そうした暗黙の連携がスムーズに成り立つのも、むしろ、何か心が通じ合っているような気さえした。

月曜日からの禁忌の期間に、私は、絵里の前回の話をなぞるようにして、妄想に浸り例によってマスターベーションを繰り返した。
繰返し消費されていくことによってだんだん陳腐なものにさえなっていくイメージをより鮮明なものにするために、前回は避けていた動画などにも手を出し、絵里が語ったような状況を描くビデオをネットで漁って、それで興奮を掻き立てもした。

大腿と足首を重ねて縛り、椅子の上で大きく開脚して固定したまま、執拗に刺激を繰り返すようなプレイは一つのジャンルになっていた。
が、そこではいわゆる電マと呼ばれるものやバイブ–中には電動工具を改造したものものあった–での責めが主で、何十分も鳥の羽根だけで刺激するような悠長なものはなかった。
それら電動の器具による激しい責めを見ながら、絵里にもゆくゆくはこうしたことが行なわれるのだろうかと考えると、それなり興奮はしたが、それよりもむしろ絵里が実際に加えられたという、商業的なビデオには出てこないような、悠長な責めのほうに、何か怪しく恐ろしいものを感じ、すぐにたやすくバイブによる責めが始まるビデオを途中でとめ、そこから自分の妄想を働かせたりした。

絵里の語りに近いビデオをそうやっていろいろと見たが、やはりどうしても、何か違うという感じがして、最後は自分の妄想に戻っていった。
しかし少なくともそれによって、未知の不鮮明ところを残しながら、絵里のプレイのイメージは色と音を持ったものとして、私の頭に定着していった。

絵里の語りから得られた限りの妄想をそうやって細部にいたるまで消費しながら、週末が近づくと、関心はこれからもうすぐ語られるであろう新しいことに移っていった。
先週以上の何があったのだろうか?
具体的な何かのイメージを追加するを自ら禁じながらも、何か妖しい期待が広がっていった。
まるで、シリーズもののAVの新作を待つ男の態度のようであった。

週末とともにに絵里との夜の戯れが再開した。

そして、禁忌の期間の具体的な手がかりを持たない妄想の迷いから私を解放してくれた。

絵里から聞き出せたのは、まず、ホテルにいる時間が長くなり、夜8時から午前1時までの5時間に及んだことであった。
ディナーの時間を早めたのはそのためとは知っていたが、時間が3時間から5時間になった以上に、夜の大部分の活動がそれに捧げられることになったことの意味は大きいと感じた。
絵里は、前回と違いその間にホテルの中で実質的な休息の時間があったとは説明してくれたのだが。

プレイが終わると、絵里は前回のシティホテルへ送ってもらった。
そして、さすがにこの夜はバーには寄らず、フロントで別れて、絵里はバスをもう一度使って、そのままひたすら眠ったという。

プレイの内容について、前回の時のように、どちらかというと絵里私の誘導に従って話し出した。
一挙に概要を話すということでなく、私たちの欲望が抑えられるなくなって、行為に入るところで終了した。
または、時間があるときはゆったりした行為の最中に、そして激しい行為と行為の間に続きをというふうに続いた。
そうしたリズムが話の区切りを作った。
そのリズムをうまく使いながら、絵里が話しを意図的に区切って二人の刺激とするやりかたも、前から延長で、さらに上手になっていった。

「今日は、ここまでね。」
「また千夜一夜ですか〜」
「そう。」
「ずるいな。」
「さっきの話に興奮しなかった?」
「すごくした。だから先が知りたい。」
「だからその先は明日。」

私たち自身が、その行為を「千夜一夜」と呼び、焦れあい焦らしあい自体を戯れて。
それに、話しの進行が区切られると、時間を遡って細部の話を聞き出そうとするぶん、刺激が豊かになったという効用もあり、私たちはそのことも意識的に楽しんだ。

そして、一晩ごとに徐々に話が紡ぎ出されてきた。