81. 股間

投稿者: ゆきお

映像の流れに一度中断があると、次のシーンは、女の股間に向き合うようにその高さで、かなり近い位置に固定されたカメラによるものだった。
電気スタンドか何かを照明にしたのか、先程暗く隠れていた部分も今度はよく分かる。
金属のネジつきの器具で挟まれ、カメラの視野には移らないが紐ゴムにつけられた鈴によって下にひっぱられているラビアの様が、くっきりと見え、痛々しい。

そこにカメラの背後あたりから、今度はまっすぐに乗馬鞭の先端が差し出された。
内腿の左右に鞭の先端があてられると、それで分け入れられたように、両腿が開いた。
ラビアの分け目、クリトリスの様子まではっきりと見える。
赤剥けになったようなその部分が、照明の光を明らかな湿潤とともにきらきらと反映している。

そんな状態の股間を鞭の先端が刺激し始めた。
腹の下から、割れ目の先端へ、さらにその先をゆっくりと撫でるかと思うと、そのまままた上まで戻す、その動きを何度か繰り返す。
あきらかに刺激に反応しているクリトリスを乗馬鞭の舌のような先の堅い角がわずかに触れるように、小さくつつくようになぶるたびに、鈴の音にまじって女の明かな快楽の喘ぎが小さく聞こえ始めた。
それが合図であるかのように、鞭の先端は違う場所を探っていった。
金属の器具に挟まれた小陰唇の外側、大陰唇との間を丁寧に愛撫していく。
おそらくそれがその挟まれたほうの陰唇に刺激を与えるのだろう、逃げるように股間が動くたびに、鈴の音が聞こえる。
両側をたっぷりと愛撫したあと、小陰唇の間に鞭の先端が差し込まれていった。
驚くほどの巧妙さだった。

鞭がまるで生き物のように見える。
鞭の先端を縦横に使いながら、堅い部分を、柔らかな肉に食い込ませるかと思うと、先端の弾力性を使って、はじくような動きを与える。
内襞の柔から部分を、鞭の一部でとらえ、前後の動きを与えると、腰がそれに追随して動き、鈴が鳴る。
今度は鞭をぐっと向こう側さし入れ、弾力性のあるシャフトを内襞の中全体にあて、食い込ませながら、前後させると今度は明らかに協力するような腰の動きとなった。
鈴が鳴る。

前後の動きが大きくなっていく。
鈴が鳴る音の大きさで、挟まれ引っ張られる痛みも強くなることが想像できるが、それを忘れようとするかのよう、動きが積極的になってきて、そのまま前後の動きを続ければクライマックスを迎えるかもしれないというところで、すっと鞭が引かれ、また別の刺激の仕方にはいっていく。
そんなことの繰返しが7、8分も続いたろうか。

鞭の動きが優しくなり股間をすくうように動かすと、鞭の上にねっとりとした透明な液体がからまりついてきた。
それまでも、鞭にからみつく湿潤は明らかだったが、今度はその量が違う。
勝ち誇ったように、鞭が下に引かれると、何条もの糸を引いてその粘りを持った液体が追いかけてくる。
鞭の平たいほうで襞の間をさすればさするほど液は分泌し、まるでスプーンで掬うような格好となった。
その形で鞭が上下に動かされると、からみつく糸の数が増えていくかと思うと、それらが合さっていくつかの大きな柱となり、そして鞭の先端が股間にあたる度に、ぴちゃん、ぴちゃんという音がし、それが鈴の音の合い間から聞こえてくる。

その間女の口からは、快楽の現われではあるが、くぐもったような、呻き声だけが聞こえていた。

女の股間から流れ出したものを鞭の先ですくうように、あるいは鞭を回して巻きとるように弄ぶ動きがしばらく続いたと思ったところで、鞭の先端が股間全体を捉え、大きく往復運動を始めた。
女の腰がいままでにない力強さで応えはじめた。
そこで、鞭が大きくすっと引かれた。

鞭が引かれるとき、ヒッという女の声が聞こえた気がした。
同時に粘った液の大きな筋が鞭を追いかけ、その素早い動きに付いていけずに、弧を描きながら落ち、カメラの視界から消えていった。
タポンという音が聞こえそうな気がした。

鞭が引かれて10秒、20秒とたつと、女の股間の動きがむず痒ゆそうなものになった。
先程までさんざんに刺激を受け、快楽の際においやられながら、はっきりしたオーガズムを与えられていない。
明らかに鞭の刺激が戻ってくるのを期待している動きであった。
カメラは非情にもその女の股間の動きを捉え続ける。
股間の動きには相変らず鈴の音が伴なわれている。

1分以上はたっただろうか、女の腰の動きが機械的ともいえるものになってきた。
鈴の音も規則的になってきた。
無慈悲に小陰唇を挟む器具に、規則的に揺れる鈴から伝えらえる刺激でさえも利用しようとしているのか。
規則的な動きと音がしばらく続いたところに、鞭の先端が、その動きを制止するかのように、下腹部にゆっくりと、しかし、しっかりと押し付けれた。
予測しなかった刺激に、女はやはりヒッというような声を上げたが、その意味をさとったらしく、腰の動きを止めた。
鞭が引かれた。
鞭の先端についていた粘る物が下腹部にべっとりつき、ライトを反射していた。

随意の運動を止めながらも、どうしても不随意の運動を抑え切れないような女の腰の小さな動きは続く。
それをしばく固定した場所から捉えたカメラが、撮影者の手に取らたらしく、後ろに引かれズームアウトされ、女の姿全体を捉えた。

その時始めて、女がかなり無理な、そして屈辱的な姿勢を取らされていたことに気がついた。
カメラが股間のアップになってから、女は鞭の指示に従って、最初閉じ気味だった両腿を大きく開かされたのだが、こうして吊られた状態で、しかもハイヒールをはいた状態で、それをするためには、吊られた腕を下に引いて重心を落し、膝のあたりで多少なりとも蟹股に近い状態にしないといけなかったのだと、女の全身像をカメラが捉えたときに理解した。

求める快楽を満されない女の股間から無慈悲に鈴が揺れ、音は続いていた。
カメラを通して見た目にも、その女は、宙に浮いたように動く股間としてしか存在しなかった。
女の感覚にとってもそうであったろう。
男の私には想像でしか言えないその感覚は、後に絵里が確認してくれた。