114. 「言葉責め」

投稿者: ゆきお

「その姿を写真に撮ってあげましょうか。」

「いや。」
不意の言葉に、思わず否定の言葉が出た。

「あれ? ご自分でおしゃってたのではないですか。今日はできたら撮影してくださいって。…目をちゃんと開けて自分の姿を見てください。」

「でも、こんなところを…」

「これもプレーの一部です。ルールを破るのに自分の都合のいいところだけ、と思っていたわけではないでしょう?」

「…」

「彼氏に見せたいんですよね。」
「あなたは、あなたと彼氏 — 自分たちのため、と言ってましたよね。」
「彼氏も承知であなたにお願いしたんでしょう。それなりの覚悟あるはずだ。」

「いや」と一言言ったあと、言葉を継げないところにたたみかけるように問い詰めてくる。
その間も、愛撫する指は淫らに動いている。

「ほんとに撮ってほしかったのだったら、もう少し私を説得してくれませんか。」

「こんな状態じゃ…」

「どんな状態?」

「…」
ことさらに愛撫の指が活発になる。
この状態で何が言えるというのか。

「あはは。ちょっと意地悪でしたね。ではあとでゆっくりお話しを聴きましょうか。正しく私を納得させられれば望みが叶うことになる。向こうに三脚を立てればいい。とりあえず私もカメラもリモコンも持ってきてあります。そこまでしなくても、今私がデジカメか携帯を鏡に向ければいいですよね。今の姿が写ります。それとも手をほどいてあげたら自分で撮りますか。動画も可能だ。」

そんな話をする間も愛撫の手は止まらない。
屈辱的だが、それで溢れてくるものが止まることはない。
むしろ体が熱くなる。

「…」

返事するどころか、快楽の声を抑えるだけでせいいっぱいだ。

「まあ、とにかく、話は後にして、この瞬間を楽しんでください。ただ、とりあえずあなたが撮ってほしいと言っているのが、どんな姿か鏡で確認しておくといいでしょう。」

その言葉が会話を打ち切るように、指の作った平面全体がクリトリスをリズミカルに擦りはじめた。
連続した動きが続く。
ここまで、何度も刺激の仕方を中途半端に変えられ、多彩だが集中できない時間を過してきたが、今度は違うと思った。
気持が一つの方向へ向う。
腰がそれに向けて単純な動きで反応しはじめた。

「いきそうになってきましたね。」
「淫らで綺麗です、絵里さん。彼氏も喜ぶと思う…。」
「自分の顔を見てください。」
「あそこも、歓んであんなに濡れている。」
「それを見たいんでしょう。あなたの彼氏は。」
「それともあなたが見せたいのかな…。」
「まず今は二人で見ましょう。いっているところを」

その動きにまた言葉が重ねられた。

「言葉責め…」私がそう指摘すると「たぶん、そういうことなのよね。」と答えた。
そして「屈辱的な言葉に興奮したか?」という質問に「最終的には、言葉の内容というよりより、その使いかたやリズムに」と答えた。

手の動きに一体になろうと腰が動いているところに、言葉がリズムを乱す。

たたみかかえるような小野寺の言葉に、首を振ったまま、愛撫に応えるだけで必死だった。

鏡の中に淫らな女が見える。

「声は少し慎しみましょうか。普通のホテルだ。」
だんだん声が漏れてくるのに、追い討ちをかけるような屈辱の言葉。

下半身と胸が引き裂かれ、千々に乱れた思いが妖しい興奮となって、絶頂に向かう感覚にうねりを作る。
一直線ではなく波の中で上下しながら、しかし、確実に持ち上げられてくる感覚があった。

絶頂が近い。